どんなに大切に飼育しても、いつかは必ず死んでしまいます。
そうです、残念ながら生物の死亡率は100%なのです!
幸いなことにクワ・カブには「標本で残す」ことが可能です。
それでは「邪道的標本作製講座」いってみよっ!


《用意する物》

・ピンセット

・ハサミ(鼻毛を切る小さいハサミがGOOD)

・古くなった歯ブラシ

・ムシの死骸(これがなくちゃ始まらない)

・グルーガン


本日の“いけにえ”はお亡くなりになった「ラコダール君」です。
標本にするには死んでから2〜3日経った頃がBESTです。
死んですぐだと内臓を抜きづらく、
日にちが過ぎる程附節がとんだりしやすくなります。
死んだムシは、「頭部」「前胸背板」「翅鞘部」「腹部」に分けて
バラバラにします。
上翅を閉じた状態の標本にする時は、折りたたまれている
後翅を切り取ります。


「腹部」は内側の部分を切り取り、内臓を抜き取ります。

♂の場合、交尾器も取っちゃいましょう。

♀の場合、未産卵の卵が出てくる時もあります。

試したことはありませんが、おそらく孵化はしないと思います…


「頭部」「前胸背板」「翅鞘部」も同様にピンセットで内臓を抜き取ります。
結構な量の内臓が入ってますよ!なかなかキビシィニオイもします!
ここで手抜きをすると、後々ニオイや害虫が湧いたり、腐敗の原因となります。
翅鞘部の内臓を抜く時は「小楯板」や「基節」が取れてしまわないように注意しましょう。
取れてしまうと修復が面倒になります。(何とかなりますけどね…)


ピンセットで内臓を抜いた後は、歯ブラシを使って

キレイに“清掃”します。

ピンセットだけでは取りきれなかった内臓も

割とキレイに取ることができます。

歯ブラシに歯磨き粉を付けるとイヤなニオイも少なくなります。

ダニなどが付いている場合はもちろん取り除きましょうネ!


ここまでの作業が終わったら、いったん乾燥させます。

ここでの乾燥は水気がなくなる程度でいいです。

半日から1日程度かな〜。適当ですわー。

面倒ならドライヤーで一気に乾かしちゃいましょう!

大幅に制作時間を短縮できますよ!

あんまりしっかり乾燥させちゃうと、腿節が固まっちゃって

後で形を整えづらくなっちゃいます。


水気がなくなったら、いよいよ組み立てにかかります。
プラモデルなんかよりずーっとカンタンです。
木工用ボンドでもOKですが、乾燥に時間がかかるので“グルーガン”が便利です。
ホームセンターで1000円以下で手に入ります。
プラスティック樹脂を内臓の入っていたところに充填します。
ただし、ヤケドには注意しましょう。ヤケドしても当方は一切責任を負いません!
当然、ムシが大型になる程たくさんの接着用スティックが必要です。
ちなみに、150mm弱のヘラクレスオオカブトには13本も入りました!(*_*)!


組み立てが終わったら、形を整えててん足します。

中のホットボンド(樹脂)が完全に硬化する前に、

手早く行いましょう。

かなり“ホッカホカ”の状態です。


2〜3日乾燥させて完成です!
生のままだと1ヶ月以上かかる作業が、1週間もあれば十分できます!
しかも、イヤなニオイも一切しませんし、害虫も湧きません。
イロムシの場合、変色することもないようです。
ちなみに内臓を抜いて標本を作るなんて聞いたことがありません。
「えーっ、そんなメンドーなことしてんのぉ!?」なんて声もチラホラ…
そこいらへんが“邪道”である所以です(^_^;)
是非一度お試しあれ!


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